こんにちは、コンビニが心の拠り所エデンです。
特に用事はなかったのに、ついついコンビニに立ち寄ってしまった――
あなたもそんな経験がありませんか?

今回はそんなコンビニに関するお話です。

「コンビニ……。
 それは、日常生活のあらゆるものを包含する、庶民の小宇宙である」

そんなことを言っている文豪は誰もいませんが、
もし、明治や大正期に活躍した文豪たちの家の近くにコンビニがあったら、
こんな買い物をするんじゃないか、という空想をしてみました。

「あの文豪はそんなこと考えないよ!」と思いましても、
ジョークですので軽く受け止めて下さいね。

もしも中原中也の家近くにコンビニがあったら

その夜は雨が、泣くように降っていたかも知れません。

2018年現在のコンビニはイートインスペースがある店舗も増え、
また、淹れたてのおいしいコーヒーに力を入れるコンビニも多いですね。
そのため、喫茶店などに入らなくても、
コーヒーやパンなどを買って店内で楽しむことができるようになりました。

家の近くにコンビニがあれば、ちょっとくらい雨が降っていても、
気楽にふらりと立ち寄れるものです。

中原中也は、コーヒーに少し砂糖を多い目に入れ、ゆっくりと掻き混ぜて、
コンビニのガラスに降りつける雨の様子を眺めるのでした。


静かにたたずむ中原中也。
なかなかのイケメンなので、気にしながら通り過ぎる女子もいるようです。

しかし、こんな一夜が在るのも、と、詩人・中原中也は夢想します。
それは人生のある1ページであり、それを記憶するのは自分だけであり、
その自分もいつかは死ぬのだと――。

などとボーっとしているうちに、うっかりコーヒーを肘でついて倒してしまいました。
いい上着を着ていたのですが、こぼれたコーヒーで汚れ、台無しです。ガッカリです。

思わず中也は呟きます。

「汚れっちまった悲しみに……」

おあとがよろしいようで。

もしも夏目漱石&正岡子規の家近くにコンビニがあったら

夏目漱石は胃が弱く、胃潰瘍に苦しんだことは有名です。

もし明治時代にコンビニがあれば、
夜中近くに胃の痛みを感じて、うっかり胃薬の買い置きを切らしていたとしても、
すぐに買いに行けたので便利だったでしょう。


胃薬を手に取った漱石、
そこで親友の正岡子規が、元気なうちにドカ食いしようと、
大量の菓子パンを買い占めている現場を目撃したかも知れません。
(※二人の実際の家の距離間は気にしない方向でお願いします)

子規は、当時不治の病であった「結核」に冒されており、身体が元気なときに、
食べる楽しみをとことんまで味わいたいという思いがあったようです。


そんな友人に、もしかしたら、漱石はこう突っ込んだかもしれません。

「病人だから好きなものが食べたいというのはわかるが、
 そんな食べ方をしては、寿命をさらに縮めるぞ。
 俳句分類という、やるべき仕事があるだろうに」

おそらく子規はそれにくどくどと反論したでしょう。

子規は漱石に結構ビビっていたらしく、
漱石に「畏友」などという二つ名をつけていたそうですが、
二人の友情は生涯続きました。

もしも与謝野晶子の家近くにコンビニがあったら

子だくさんだった与謝野晶子、近所にコンビニがあったら、
子育てに必要な品を買いに、よく訪れていたかもしれません。

そんな忙しい晶子でしたが、ふと、飲料水の販売コーナーが目にとまります。


「あの、これは」
晶子が手に取り、思わずコンビニスタッフに問い合わせたのは、
おまけで飛行機のストラップがついた、ペットボトルのミネラルウォーターでした。

「ああ、これ、もうすぐ飛行機の映画が公開されるんで、その関連商品なんですよ」
「……飛行機」

想像力豊かな晶子の脳裏に、真っ青な空を駆ける美しい飛行機の姿が浮かびます。
その操縦席に座り、操縦桿を握りしめているのは……ほかならぬ、晶子自身。

――ああ、飛行機乗りになって、自由自在に空を飛べたら。

思わず空想に浸ってしまった晶子、うっかり当初買う予定だった品物を忘れ、
おまけつきのミネラルウォーターだけを買ってコンビニを出るのでした。

文豪とコンビニのマリアージュ

「文豪うっかり物語」いかがでしたか? ……あれっ、趣旨ちがってる?

もちろん、明治や大正時代にコンビニなどあり得ないのですが、
もしも存在したら…と考えると、結構予想外の可能性が開けました。

そんなノリで、
剣と魔法のファンタジーな異世界にコンビニがあったらどうなるのかな?
という試みをしているのが、L-エンタメ小説の
『もし異世界ファンタジーでコンビニチェーンを経営したら』(KADOKAWA)です。

エルフやドワーフがいる異世界でもしコンビニを経営したら、
どんなハプニングや、どんなマリアージュが起こるのでしょうか?

コンビニ経営の楽しさや大変さが覗けるライトノベルです。

参考サイト・文献

『中原中也全集1』、『中原中也全集2』(角川書店)
伊藤美喜雄『夏目漱石の実像と人脈――ゆらぎの時代を生きた漱石』(花伝社)
坪内 稔典『正岡子規 言葉と生きる』(岩波新書)
松村由利子『与謝野晶子』(中公叢書)
鶴田 静『ベジタリアン宮沢賢治』(晶文社)

ライター プロフィール
和・洋問わず、異世界モノが好き。特に、戦闘シーンや食べ物の表現が魅力的な作品がお気に入り。性格はクールだが、やや天然で、15歳までサンタさんがいると信じきっていた。大学では法学部に在籍し成績は最上位、法科大学院を目指した時期もあったが文筆業に夢中になり今に至る。


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